カナダの大自然

イギリス誌エコノミストが2019年に発表した「世界で最も住みやすい都市ランキング」では、バンクーバーやカルガリー、トロントといったカナダの複数の都市が、10以内にランクインしています。

カナダへの移住を検討している方や、税金対策として海外移住を考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、カナダは日本からの移住先に適しているかを税金の面から考察しました。カナダの税制度や社会保障などをご紹介するので、移住先を決める際の参考にしてみてください。

カナダの主な税制度

まずは、カナダの主な税制度についてご紹介します。

消費税

カナダの消費税は、「GST」と「PST」2種類です。しかし、州によって税金の制度が異なるため、この2つを合わせて「HST」という名称になった税金を徴収する地域もあります。それぞれの制度内容や税率は、以下の通りです。

・GST(連邦消費税):5%

カナダ政府により徴収される税金で、カナダ全土で一律5%の税率と決まっています。

・PST(州税):州により異なる

各州に納める税金です。州によって税率は異なりますが、6~10%程度となっています。

・HST(ハーモナイズド消費税):州により異なる

GSTとPSTを合わせてHSTとして徴税する州もあります。HSTも州によって異なりますが、13~15%程度が一般的です。

 

主な州の消費税の種類と税率をまとめると、以下のようになっています。

【消費税一覧※2021年現在】

州(主な都市) 消費税の種類 税率
オンタリオ(トロント) HST 13%
ブリティッシュコロンビア(バンクーバー) GST+PST 12%
ケベック(モントリオール) GST+PST 14.975%
アルバータ(カルガリー) GST 5%

GSTが免除されるもの

トロントやバンクーバーといったカナダの主な都市では、税率が12~13%もあり「日本以上にお金がかかる」「税金が高い」といった印象を受ける方が多いのではないでしょうか。

しかし、カナダの消費税は、すべてのものに一律で数%の税金がかかるわけではありません。

生活必需品には税金がかからないか、もしくは税率が低くなるように設定されています。カナダでは、品物やサービスに対し、以下の3形態の課税システムのいずれかを導入してます。

・税金がかからない

・GSTだけかかる

・GST+PSTもしくはHSTがかかる

 

税金免除の対象になるものも州によって異なりますが、ここではバンクーバーのあるブリティッシュコロンビアの一例を挙げてご紹介します。

【課税システムと内容】

課税の有無 内容(一例)
税金がかからないもの 食料品、医療費、家賃、公共交通機関の乗り物、水道代
GSTだけかかる 子供服、書籍、市販薬、タクシー、フィットネスジム

州税一覧

PST(州税)の税率は、州により異なります。州税の一覧は以下の通りです。なお、HSTとして導入している州もあるのでご注意ください。

【州税一覧※2021年現在】

州名 州税率
ブリティッシュコロンビア 7%
アルバータ 0%
サスカチュワン 6%
マニトバ 7%
ケベック 9.975%
ユーコン 0%
ノースウエスト 0%
ヌナブト 0%
オンタリオ 13%(HST)
ニュー・ブランズウィック 15%(HST)
ニューファンドランド&ラブラドル 15%(HST)
ノヴァ・スコシア 15%(HST)
プリンス・エドワード・アイランド 15%(HST)

所得税

所得税にも、国に納める連邦所得税と各州に納める州所得税の2種類があります。どちらも所得により税率が上がっていく累進課税方式です。

日本もカナダも同じ累進課税方式を取っていますが、日本は単純累進課税、カナダは超過累進課税を取っている点が異なります。

また、カナダでも日本と同じように給料から天引きする形で税金を徴収します。

ただし、税金を払いすぎたり少なすぎたりするときには、日本では会社員の場合会社が代行して手続きを行ってくれますが、カナダでは会社員であっても個人で確定申告(タックスリターン)の手続きを行う必要があるため、注意が必要です。

相続税

日本の税制度では、相続財産に対し相続税が発生します。しかし、カナダには相続税制度がありません。

相続財産が多くなりそうな場合には、カナダに移住し財産を事前に移しておくことで、相続税対策ができるでしょう。

ただし、カナダでも相続財産の100%を譲り受けることはできないため、注意が必要です。

不動産や株式などのように、購入時と相続時の時価に差額が発生する場合は、その差額分にキャピタルゲイン課税が発生します。

カナダのキャピタルゲイン課税の対象になるのは、差額の50%です。

例えば、60万ドルで購入した不動産が100万ドルになっていた場合は、(100万ドル-60万ドル)×50%=20万ドルなので、20万ドルに対して課税されます。

社会保障制度

カナダにも日本と同じような社会保障制度があります。

・医療保障制度:保険料を支払うことで医療費が無料になる制度※一部の州では保険料が無料のケースあり

・年金制度:OAS(老齢年金)日本の国民年金にあたる

CPP(カナダ年金)日本の厚生年金にあたる

・教育制度:初等教育~高等教育など授業料無料

カナダでは、医師の診察や治療は基本的には無料ですが、処方箋や歯科治療、救急搬送にかかる費用などは、原則保障の対象外です。

安心を得るためには、追加で民間の保険に加入し備えておく必要があります。ただ、年金制度や教育制度に関しては、個人年金や奨学金といった複数のサービスがあり、サポート体制が整っているといえます。

課税対象者と節税のポイント

カナダの永住権を取得した後も、日本とカナダを行き来する予定のある方の中には、「日本とカナダ両方の税金を払うことになるのではないか」と疑問を感じる方もいるでしょう。

カナダでの税金が課税されるかどうかは、居住形態により決まります。

また、カナダには税金対策として使用できる制度がいくつかありますので、併せてご紹介します。

節税を考えている方は、納める税金を少しでも減らせるよう、「課税対象者の条件」と「節税のポイント」を事前に確認しておくことが大切です。

居住形態と課税条件

課税対象者の条件は、以下の4形態となっています。どの形態の対象者となるかで、カナダでの課税義務が発生するかしないかが決まるシステムです。

 

【居住形態と課税条件】

居住形態 対象者条件 課税の有無
通年居住者 年間を通してカナダに居住している方 所得の発生場所やカナダへの送金の有無に関わらずカナダで課税される※外国税額控除あり
中途年度居住者 年間の一部のみカナダに居住している方 カナダに居住し、カナダで雇用されている・事情を営んでいる期間の、全世界の所得がカナダで課税される
みなし通年居住者 居住の拠点はカナダ以外にあるが、カナダでの滞在期間が183日を超える方 カナダの非居住者として認められれば、日本を源泉とする所得については課税対象外となる
非居住者 長期滞在が年間183日未満の方 カナダ源泉所得についてのみカナダで課税される※雇用主がカナダ国外の企業・国外に居住している場合は課税対象外となる

利用したいカナダの節税制度

カナダの永住権を取った後も、日本に拠点を置き日本とカナダを行ったり来たりする予定がある方は、滞在方法や課税対象者の形態を確認しながら、どの程度カナダに居住するかを決めましょう。

カナダには節税しながらお金を貯められる制度がいくつかあります。日本で導入しているiDecoやNISAに似た政策です。ここでは、税金対策として使用できる主な制度を3つご紹介します。

・TFSA(非課税貯蓄口座):この口座に預入している投資で得た利益に対しては、課税が免除されます。TFSAの場合、預金を引き出す際にも税金がかかりません。1年間に投資できる限度額はインフレ率により変動するため、その年によって異なります。

・RRSP(登録退職貯蓄年金):退職金を自分で貯める制度です。RRSPの口座に預け入れたお金は、今年度の収入としてカウントされなくなるため、支払う税金が減ります。ただし、口座から預金を引き出す際には税金が発生するので注意が必要です。退職後、所得が減り控除額が上がってから引き出すことで、かかる税金の額を少なくできます。

・RESP(教育資金積み立て口座)口座への入金に対し、20%の補助金が出る制度です。資金を引き出す際も、親ではなく子どもが課税対象となるため節税効果が高くなります。世帯収入の制限はありませんが、子ども(17歳まで)1人あたり年間500ドル、合計7200ドルの制限があります。

まとめ

税金の面からみたカナダのメリットは、「相続税がない」「社会保障制度が充実している」「消費税が安い」といった点です。

カナダは消費税が高いイメージがありますが、実際には州によって税率が異なり、さらに生活必需品には消費税が課税されない仕組みになっています。

税金対策として使用できる節税制度も複数あるため、海外移住を考えている方にとっては魅力のある国といえるのではないでしょうか。移住先を検討する際には、今回の記事もぜひ参考にしてみてください。

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