マレーシアへの移住を検討している人の中には、以下のような不安や疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。

「マレーシアではどのような税金を納めるのだろうか」
「マレーシアに移住するにあたって、税制における注意点を知りたい」
「マレーシアに移住するにあたって、税制におけるメリットとデメリットを知りたい」

誰もが「できるだけ安く税金を納めて暮らしていきたい」と思いますよね。

本稿では、マレーシアに移住したい人向けに「マレーシアの税制」について詳しく解説していきます。

最後までお読みいただければ「マレーシアの税制」についての知識が深まるはずです。
ぜひ、参考にしてみてください。

【必ず知っておくべき】マレーシアの税金に関する2つの前提知識

税金についての考え方はそれぞれの国によって異なります。

海外移住する際は、「自分が移住しようとしている国の納税への捉え方」について知る必要があるのです。

まず、マレーシアの税金に関する「大前提」を2点取り上げて解説していきます。

マレーシアは「国外所得免除方式」日本は「全世界課税方式」

マレーシアで採用されている「国外所得免除方式」とは、マレーシアにおける保険業、銀行業、空海運業以外の会社、または個人が「外国で生みだした所得」に対しては免税となるシステムです。

対して、日本で採用されている「全世界課税方式」とは、日本における会社が「外国で生みだした所得」に対しても課税されるシステムです。

キャピタルゲイン税は必要ない

日本においては、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)のキャピタルゲイン税を納める必要があります。

しかし、マレーシアにおいては、上記のような制度はなく、株式投資等で得た利益に対する税=キャピタルゲイン税を納める必要はありません。(不動産に対しては納税義務有り)

とはいえ、日本の証券会社の口座は、あくまでも「日本に住んでいる人向けの口座」です。
つまり、日本の証券会社から得た所得は「日本で得た所得」になるため、日本の納税制度が適用されることになります。

マレーシアの税制を活用するためには、マレーシアに生活拠点を持ち、マレーシア国内で株式投資を行って利益を得る必要があるのです。

マレーシアの税制について

上記をふまえた上で、ここからは、マレーシアの税制について「税金の種類別」に解説していきます。

マレーシアの個人所得税

マレーシア国内の会社に勤務した人の給与所得については、マレーシアにおいて所得税を支払う義務が生じます。

日本の会社から給与をもらった場合と基本的には同じです。

マレーシアでも日本と同様の「累進課税制度」が適用されており、「所得が高い人ほど税負担が大きくなる」仕組みとなっています。

2018年以降の累進課税の割合は、以下の表の通りです。

年度の所得金額(リンギット) 税率(%)
1-5,000 0%
5,000 - 20,000 1%
20,001 - 35,000 3%
35,001 - 50,000 8%
50,001 - 70,000 14%
70,001 - 100,000 21%
100,001 - 250,000 24%
250,001 - 400,000 24.5%
400,001 - 600,000 25%
600,001 - 1,000,000 26%
1,000,000超 28%

【参考】https://connection.com.my/malaysia_tax/Malays

とはいえ、注意すべき点が1つあります。

マレーシアの累進課税制度を適用するためには「182日以上」マレーシアに滞在していなければなりません。
マレーシアでの滞在日数が「181日以下」の人は、「非居住者」となり、28%~30%の外国人税率が適用されてしまうのです。

マレーシアの法人税

マレーシアで会社を設立して、マレーシア国内で事業を行うのであれば、その収益に対し法人税を納める義務が生じます。

その税率は「課税所得」「資本金」により、17%~24%まで変動するため、注意が必要です。

「ラブアン法人」として事業を行う場合も、現在は規制が厳しくなり、税率3%の優遇措置を受けるのは難しくなっています。

ラブアン法人もマレーシア法人と同じ税率が適用されるケースが多いです。

※ラブアン法人とは…

1990年にマレーシア政府から「オフショア金融特別区」と位置づけられた、南シナ海にある「ラブアン島」。

このラブアン島では、外国人でも「ラブアン法人」として会社を設立でき「一定の税率が低い、もしくはゼロである地域=タックスヘイブン」の優遇を受けられるとして注目を集めています。

マレーシアで所有した不動産に関する税

マレーシア国内で不動産を所有する場合、以下の4つの税金の支払い義務が生じます。

1. 印紙税
2. 固定資産税
3. 所得税(家賃収入がある場合)
4. 不動産譲渡益税

固定資産税の額について日本とマレーシアを比べてみましょう。日本とマレーシアにおいて「100㎡のコンドミ二ウム」を所有した際の固定資産税額は以下の通りです。

マレーシア…約25,500円
日本…10万円以上

マレーシアの方がかなりお得となっています。

マレーシアの贈与税・相続税

マレーシアにおいては、資産に対する贈与税や相続税の納税義務はありません。
日本の相続税の税率は10%〜55ですから、一見すると「マレーシアに資産を移動させればお得」と感じるかもしれません。

しかし、日本の国税庁は、納税を回避する動きに対してシビアになっており、現状、資産を海外に移動させることは難しくなってきています。

加えて、「相続に関わる人は10年以上海外に生活基盤を置いておかなければならない」という縛りもあるため、贈与税・相続税に関する「マレーシアのメリット」を受けるためには、しっかりとした計画が必要となるでしょう。

マレーシアの消費税

2022年現在、日本における消費税は10%ですよね。

しかし、実はマレーシアには「消費税」という概念はありません。
その代わり「売上税&サービス税(SST」という税金が6%に設定されています。

SST=「マレーシアで享受する指定されたサービスへの対価」と考えてもらって構いません。

SSTが発生するシチュエーションとしては、ホテル代、お店における飲食代、弁護士への相談料、車の整備料などです。

マレーシアの住民税

日本では、自分が住んでいるエリアを管轄する役所に住民票を提出し、住民税を納めなければなりません。
その代わり、行政が提供するサービスを受けられる形になっているのです。

しかし、マレーシアには住民税を納める制度は存在しません。

日本からマレーシアに移住した場合、住民税を納めなくても、マレーシア国内の行政が提供するサービスやインフラを利用できます。

マレーシアにおける税制上のメリット・デメリット

マレーシアに移住した場合に、第一に感じられる税制上のメリットは「消費税と住民税を納める必要がないこと」です。

消費税の代わりに「売上税&サービス税(SST」という制度がありますが、ホテルや一部の飲食店を利用する時以外の「日常生活」で負担するケースははあまりないでしょう。

逆に、税制上のデメリットは、マレーシアに移住してから半年間(182日以上)は「非居住者」とみなされ、所得税の税率が最高税率(28%~30%)になってしまうことです。

マレーシアに移住してから半年間の間に「マレーシア以外の国」に旅行していた場合、その日数は除外されてカウントされるので注意してください。

マレーシア国内の会社に勤めてから約半年間、多くの会社は約3割の所得税を「見込み税額」として差し引いてから給与を支給します。

「手取り額が3割減ってしまう」感覚は、かなり不安を覚えるかもしれません。
しかし、マレーシアの物価はかなり安く「日本の3割ほど」です。

贅沢さえしなければ、日常生活に困ることはないでしょう。

また、居住者になった翌年の確定申告の際に、還付申告を行えば、非居住者の状態で納め過ぎた税金は取り戻せます。
忘れずに還付申告を行いましょう。

マレーシアの税金について知り、移住後にメリットを活かせるようにしよう!

本稿では、マレーシアの税制について解説してきました。

マレーシアで、会社員として日常生活を送る上で納めなければならない税金は、「所得税のみ」です。

住民税や年金、保険料を支払う必要はありません。
マレーシアは天然ガスや石油などの資源をたくさん保有しているので、国民から高い税金を徴収しなくても国が回っていく仕組みとなっているのです。

マレーシアに移住後、約半年間は所得税の税率が高くなってしまいますが、確定申告の際に還付申告をすれば取り戻せます。

納めるべき税額をトータルで考えた場合、日本よりもかなり安くなるでしょう。

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