ベトナムは日本からの移住先として向いているか?税金に注目して検討してみた
Rice fields on terrace in rainy season at Mu Cang Chai, Yen Bai, Vietnam. Rice fields prepare for transplant at Northwest Vietnam

ベトナムは古くから日本と友好関係にあり、日本の商品もそろうことから日本人にとって人気の移住先の一つです。しかし実際に移住するには色々気になることがあり、そのうちの一つがベトナムの税金でしょう。日本と違う点も多くあるので、移住前によく確認するようにしてください。

この記事ではベトナムの税金に注目して、日本からの移住先としてベトナムが向いているかどうか検討していきます。

ベトナムの付加価値税

ベトナムには付加価値税とよばれる商品に課される税金があるのですが、日本の消費税と同じと考えるとよいでしょう。

付加価値税は標準で10%なのですが、一部の商品またサービスに対して税金がかからないもしくは5%になることがあります。標準税は10%と日本と変わらないのですが、普段生活をしていて必要な食料品や水などはすべて5%であることから日本よりも付加価値税(消費 税)は安いといってもよいでしょう。

ベトナムの店舗によっては、税込みなのか税別なのか記載されていないことも多いので購入前に確認をするようにしてください。

商品やサービス 商品やサービスの内容 税率
標準税 以下の商品やサービスにあてはまらないもの 10%
必需品もしくは必需となるサービス 水や食料品、農業サービス、肥料、科学技術サービス、教育関連の書籍など 5%
輸出 輸出品、輸出サービスなど 0%

ベトナムにて個人所得(PIT)を受けた場合

ベトナムで個人所得を受けた場合は、納税義務が発生します。ベトナムでの個人所得に対しての納税額は居住者と非居住者によっても異なります。

居住者と非居住者の違いとは

ベトナムでの個人所得税の納税者は、居住者と非居住者によって異なります。居住者とは183日連続でベトナムに滞在しているか、1年間のうちに183日以上滞在している人が該当します。入国日と出国日は1日としてカウントされるのでご注意ください。

またテンポラリーレジデンスに登録している日数が183日を超える場合でも、同じように居住者扱いとなります。Residence Cardに登録された住居を有しているもしくは、契約期間 が183日以上(ホテルやアパートなど住居の形態は問わず)の場合は居住者扱いとなります。しかし183日以上の賃貸契約期間があったとしても、暦年で考えてベトナムでの滞在期間が年間で183日未満の場合は居住者扱いされません

居住者と非居住者の税率

所得の種類 居住者 非居住者
給与所得 5~35% 20%
ロイヤルティー所得 1,000万ドン超に対し5% 1,000万ドン超に対し5%
投資所得 利益に対して5% 利益に対して5%
投資譲渡所得、資本譲渡益 利益に対し20% 取引額に対し0.1%
事業所得 0.5~5% 物品販売:1%
サービス提供:5%
その他:2%

居住者の給与所得に対しての税率は日本のように所得額によって異なります。日本と比較をすると低所得であればベトナムの方が税率は高いのですが、逆に所得が高くなればなるほどベトナムの方が税率は低くなります

毎月の所得額 税率 所得額
500万ドン以下 5% 毎月の所得額の5%
500万超~1,000万ドン以下 10% 毎月の所得額×10%-25万ドン
1,000万超~1,800万ドン以下 15% 毎月の所得額×10%-75万ドン
1,000万超~1,800万ドン以下 15% 毎月の所得額×10%-75万ドン
1,800万超~3,200万ドン以下 20% 毎月の所得額課税所得×20%-165万ドン
3,200万超~5,200万ドン以下 25% 毎月の所得額課税所得×25%-325万ドン
5,200万超~8,000万ドン以下 30% 毎月の所得額課税所得×30%-585万ドン
8,000万ドン超 35% 毎月の所得額課税所得×35%-985万ドン

また従業員として働いている場合は、社会保険料として所得に対して9.5%がひかれます。

控除金額

ベトナムの基礎控除金額扶養控除は以下のように2020年度の決算から引き上げられました。この結果国の歳入は10兆3,000億ドン減少すると計算されているのですが、それでも国民(住居者)の生活をよくするような施策がとられているのです。

扶養控除額月360万ドン(約1万7000円)月440万ドン(約2万0800円)

現行 2020年度以降
基礎控除額 月900万ドン(約4万2500円) 月1100万ドン(約5万2000円)

その他のベトナム独自の税金

それではここまでに説明した税金以外に、以下のようなベトナム独自の税金がありますのでご紹介していきます。

・環境保護税
・特別消費税
・外国契約者税(FCT)

環境保護税

ベトナムは経済成長をしている反面大気汚染など環境保護に対する問題が大きくなっています。そこで石油やビニール袋に対して環境保護税法を2010年11月15日に発行、2012年1月1日より施行しています。

項目 税金額
石油(1リットルあたり) 1,000~4,000ドン
石炭(1トンあたり) 10,000~50,000ドン
HCFC 溶液(1キログラムあたり) 1,000~5,000ドン
ビニール袋(1キログラムあたり) 30,000~50,000ドン
除草剤(1キログラムあたり) 500~2,000ドン
殺菌剤など(1キログラムあたり) 1,000~3,000ドン

特別消費税

ベトナムには付加価値税の他に、ぜいたく品が対象となっている特別消費税があります。 たばこ、アルコール、自動車などがこの特別消費税の対象になるのですが、たばこは7 5%、アルコールは35%~65%(20度未満のアルコールは35%)となっています。

これだけ見ると見本の酒税やたばこ税を比較してわかりにくいのですが、 例えば日本でビールの酒税は1キロリットルあたり200円となっています。ベトナムではビールの種類や店にもよりますが50ミリリットルの瓶ビールが50円~100円くらいで購入できるので、1キロリットルに換算しても100円~200円くらいです。

ここにビールの特別消費税は65%なので、1キロリットルあたりの消費税は65円~130円となります。ビールの単価が大きく違うのでこれが高いか安いかは人によるのではないでしょうか。

割合で考えたら高いですが、特別消費税を含めても日本よりも安く購入できるのであまり高いと感じないかもしれません。

外国契約者税(FCT)

この外国契約者とは、ベトナムでベトナムの個人もしくは内国法人と契約をして、サービスを提供した対価として得る所得に対しての税金となります。このためベトナムで事業を行う場合は知っておかなければいけない税金です。

外国契約者税は付加価値税(VAT)、法人税(CIT)に以下のようにわかれます。

 

業務内容 付加価値税(VAT) 法人税(CIT)
サービス一般 5% 5%
レストラン・ホテル管理サービス 5% 10%
サービスが付随する物品販売 5%
ロイヤリティ 10%

まとめ

ベトナムではベトナム戦争が終わり、ドイモイ政策後は国民の生活の向上をより重要視するようになりました。このことは税金にも反映されています。 ベトナムの標準的は消費税(ベトナムでは付加価値税とよばれます)は10%で日本と変わらないのですが、食料や水など生活に直結するものは5%になります。

またベトナムで就業する場合所得税を支払う必要があるのですが、2020年度より控除額が大幅に増えました。ベトナム政府が国民(居住者)の生活をよくしようとしているのがわかります。

これらの点から税金という面で判断しても、ベトナムは移住先としておすすめの国だといえます。

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