日本にはなじみのあるアメリカですが、移住先としてはどうなのでしょうか。
移住するとなると観光で行くのとは大きく内容がことなってきます。この記事では税金に注目して、アメリカが日本からの移住先として向いているか検討していきます。
Contents
アメリカの税金の種類とは
まずアメリカで生活するうえで必要な税金ですが、主な税金は以下のようになります。アメリカでは主に国税と州税があり、そのほかにも以下のような税金が必要になります。
- フェデラルタックス(国税)
- 州税
- 固定資産税
- 所得税
- 連邦個人所得税
- 州所得税
- 不動産譲渡税
フェデラルタックス(国税)
フェデラルタックスは連邦税ともよばれ、アメリカ全体として統一された税率で、累進課税となっています。フェデラルタックスはアメリカ国内で受けた報酬や給与、配当、ロイヤリティ等に対して30%の源泉課税がかかります。
これらの給与などを支払い企業などが源泉徴収をしてIRS納付します。
アメリカで源泉徴収を受けるのは、アメリカの市民権を持っていない外国人でなおかつアメリカ非居住者になります。グリーンカードを保持している、または保持していなくても過去3年間に合計183日以上滞在しているとアメリカ居住者となります。
つまりこれらの条件を満たしていないと非居住者ということになります。
またこの源泉のルールは州ごとにもあるのでご注意ください。
州税
アメリカは州税が州によって異なります。さらに州税にローカル税を加えた額になると、州税がかからない州から10%前後の州まであります。
消費税
アメリカには厳密にいうと消費税はなく、州の税率プラス小売売上税がそれぞれの商品にかかってきます。小売売上税とは、小売業者から消費者に届くまでの税金のことをいいます。日本では卸売業者や小売業者も消費税を支払うのですが、アメリカでは消費者のみがこの小売売上税を支払いことになります。
アメリカでは消費税などの間接税が必要だと考えられていません。もし赤字の企業が消費税や付加価値税などの間接税を支払うと経営が厳しくなります。アメリカではこのような状態であれば、経済がうまく回らないと考えているのです。
実際に支払う税金は州税だけでなく小売売上税もあるので、州税にさらに市税が加わるエリアもあるので、州によってさらに支払い税金は高くなることがあります。
例えサンタモニカ市はカリフォルニアの州税が8.66%であるほか、ロサンゼルスカウンティーの税金が1.5%、サンタモニカの市税が0.5%となるため、サンタモニカでは9.66%の税金がかかります。
固定資産税
アメリカも日本と同じように固定資産税の支払いが必要となります。対象は不動産、動産また無体財産も含まれます、不動産に関しては全ての州で納税が必要ですが、動産また無体財産に関しては州によって違います。例えば機械や装置などのみ課税するなど、州によって課税対象が細かく設定されています。
また固定資産税は年に4回徴収されるケースが多いです。
所得税
所得税には連邦個人所得税と、州の所得税があります。連邦個人所得税は全米で統一となっていますが、州の所得税は州によって異なります。
連邦個人所得税
連邦個人所得税は以下のように課税所得額によって税率が異なってきます。また以下の数値は単身の場合となります。
課税所得帯 | 税率 |
0~9,950ドル以下 | 10% |
9,950ドル超~40,525ドル以下 | 995.00ドル+12% |
40,525ドル超~86,375ドル以下 | 4,664.00ドル+22% |
86,375ドル超~164,925ドル以下 | 14,751.00ドル+24% |
164,925ドル超~209,425ドル以下 | 33,603.00ドル+32% |
209,425ドル超~523,600ドル以下 | 47,843.00ドル+35% |
523,600ドル超 | 157,804.25ドル+37% |
引用:Jetro
対象となるのは、以下のようにアメリカ居住者となります。
引用:Jetro
州所得税
所得税は上記の連邦所得税だけでなく、州政府や地方自治体にも納付する必要があります。州によって所得税金の設定がされています。
アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコタ、テキサス、ワシントン、ワイオミングに関しては州の所得税金はありません。またニューハンプシャー州やテネシー州のように投資所得に対してだけ課税対象である州もあります。
不動産譲渡税
アメリカでも不動産を売却した場合は不動産譲渡税がかかります。
この不動産譲渡税は州ごとに課税されます。またこのほかにも連邦税が売却額から源泉徴収されることになります。テキサス州やワシントン州のように、課税されない州もあります。
アメリカの税の特徴とは
アメリカは連邦共和国であることから、税徴収権限は国家だけではなくそれぞれの州でも行っています。そのため実際に支払う税金額は州によって大幅に変わります。
州によって収税が異なる
アメリカは州によって大きく収税が異なります。以下の記載のように州税がかからない州から5%を超えている州もあります。
主な州の州税
州税は州によって大きく変わります。2021年現在の主な州の州税とlocal taxとよばれる地方税を加えた数値は以下のようになっています。
主な州 | 州税 |
ニューヨーク | 8.52% |
カリフォルニア | 8.66% |
イリノイ | 9.08% |
テキサス | 8.19% |
フロリダ | 7.05% |
ハワイ | 4.44% |
また以下の州は州税がありません。
アラスカ州 、フロリダ州、ネバダ州、サウスダコタ州 、テキサス州、ワシントン州、ニューハンプシャー州、テネシー州、ワイオミング州
主な税金の日本との比較
それではアメリカと日本の主な税金の違いを比較していきます。
消費税
世界の多くの国で消費税を導入していて、日本の消費税8%は中国17%、イギリス20%などと比べると低めの設定です。
韓国10%、タイ7%なので中国を除くアジアは全体的に低めす。アメリカは小売売上税を導入しており、簡単には比較できないのですが上記の表のように高い州で8~9%となっているため、日本の8%はアメリカと比較をすると高めの州と同じということがいえます。
所得税の違い
日本の所得税は所得に応じて5%~45%となっています。アメリカは10%~39.6%となって大きな差はありません。しかし日本はさらに住民税が10%必要になるため、所得税+住民税と考えるとアメリカよりも少し高い印象があります。
まとめ
ここまでアメリカの税金に関して説明してきました。アメリカは税金の仕組みが日本と大きく違い複雑です。特にアメリカは国内で税率が大きく違うため、どの州が該当するかによっても日本とどちらが安いかは大きく変わってきます。
例えばアメリカには州税がかからない州もあります。しかしニューヨークやカリフォルニア州などは州税とローカルタックスを加えると、8%台であり日本と変わりません。
またアメリカで働く場合は会社員であっても、自分で確定申告(タックスリターン)を行います。そのため税金に関しての知識が必要になります。アメリカは州によっても大きくかわるので、住んでいる州のルールを確認することが重要です。
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