海外に住むならビザを優先すべき理由

海外移住を検討中の方の中には、「ビザなしで滞在できる国もあるのでは?」「ビザ取得にかかる手間や時間を省きたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、移住に適したビザを取得しなければ、不利益を被る可能性もあるため注意が必要です。

そこで今回は、海外に住む際にビザを優先すべき理由を、税制度に着目して解説します。海外移住を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

海外移住に必要なこと

「のんびりと生活できそう」「自由に暮らせそう」といったイメージのある海外移住ですが、海外に移住するのは簡単ではありません。海外で生活していくためには、以下のようなものが必要となります。

・言語能力:中級レベル以上
・資格やスキル:移住先でも使用できる資格・スキル
・資金:移住先で使用するお金・移住の際に求められる預金残高
・現地の情報:移住先の住宅や仕事を探す際に有益な情報
・ビザ:移住に適したビザ(主に永住ビザ) など

短期間留学するのとは異なり、海外に移住し現地で生活をしていくとなると、さまざまなものが必要となります。特に、現地で生活していくことができるよう資格やスキル、資金は必須項目です。また、適切なビザがなければ現地に滞在することもできません。移住の際には、まずどのビザを取得しどのように生活するかを考えましょう。

移住に使用する主なビザの種類と移住方法

海外移住に使用されるビザには、いくつかの種類があります。主に使用されるビザは以下の通りです。なお、国によってビザの内容や名称、適用条件は異なります。

ビザの種類 特徴 期間の定め
学生ビザ 現地の学校に通う際に使用できるビザ あり
就労ビザ 現地の企業で働く際に使用できるビザ あり
リタイアメントビザ 年金受給者や退職者が使用できるビザ あり
投資家ビザ 移住先の不動産や企業、国家プロジェクトなどに投資する方が適用できるビザ あり
永住ビザ 就労や職業、期間などの制限なく滞在できるビザ なし

どれくらいの期間、どのように滞在するかによって使用できるビザが変わります。ビザは条件に合わなければ取得できないため、簡単に発行してもらえるものではありません。移住する際には前もって準備を進めましょう。

また、観光ビザで滞在する方も中にはいますが、その場合は滞在期間を延長するため出国・入国を繰り返す必要があります。何度も出入国を繰り返すと、入国拒否となる可能性もあるので気を付けましょう。

ビザがなかった場合の税に関するデメリット

海外に移住する場合には、しっかりと自分の条件に合ったビザを取得する必要があります。ビザを取得せずに滞在した場合は、税に関するデメリットも発生する恐れがあるため注意が必要です。ここでは、ビザがなかった場合の税に関する主なデメリットを3つご紹介します。

社会保障制度を受けられない可能性がある

日本の社会保障制度も比較的充実していますが、国の財源や国政に対する不安から、老後や今後の日本社会に心配を感じている方も少なくありません。

海外の社会保障制度に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。例えば、カナダ(BC州)に移住した場合に受けられる社会保障制度は以下のようになります。

・医療保障制度:保険料を支払うことで医療費が無料になる制度※一部の州では保険料が無料のケースあり
・年金制度:OAS(老齢年金)日本の国民年金にあたる
CPP(カナダ年金)日本の厚生年金にあたる
・教育制度:初等教育~高等教育など授業料無料

手厚い保障があれば安心して生活できるでしょう。しかし、海外でこういった保障を受けるためには、市民権や永住ビザを取得する必要があります。適用条件に合致するビザがなければ、社会保障も受けられません。

二重に税金がかかる場合も

海外に移住する場合には、その国の税制度に則り納税することになります。日本よりも所得税が低い国に移住すれば、支払う税金を抑えることも可能でしょう。ただし、日本で「居住者」と認められてしまえば、日本でも納税義務が発生するため注意が必要です。日本における居住者と非居住者の定義や課税条件は以下のようになります。

居住形態 定義 課税対象の条件
居住者 ・日本国内に住所がある

・1年以上引き続いて居住している

・生活の中心が日本にある など

国内外問わず、1年間に得た全ての収入が課税対象
非居住者 居住者以外 日本国内で得た収入のみが課税対象

注意すべき点は海外にも課税条件があることです。どちらの国においても居住者と認められた場合には、両国に税金を支払う必要が発生します。通常「租税条約」を集結している国では両国間で協議され、原則どちらか一方が適用されますが、租税条約が集結されていない国では、二重に税金を納めるケースもあります。

租税条約が集結されていない国で「日本に拠点を置きながら、観光ビザで海外を行き来する」といった移住方法を取った場合、どちらの国においても居住者と認識される可能性あるため注意しましょう。

投資の優遇制度や節税制度などが利用できない

永住ビザを取得すると社会的信用度が上がるというメリットもあります。永住する資格を持っているということは、国や州などの政府機関が定める所定の条件をクリアしているということになるためです。

社会的信用度が上がれば、自国民と同じようにローンの融資や投資の優遇制度、節税制度などを利用できるようになります。一方、ビザなしの移住や学生ビザなどを使用して滞在する場合には、基本的にはこういった優遇制度を受けることができません。

政策の内容や国によって適用条件に違いはあるものの、社会的地位は高ければ高いほど、移住先で快適な生活空間を構築できる可能性も高まります。逆に社会的地位が低ければ、移住先でのメリットを、十分には享受できないと考えておきましょう。

永住ビザの取得難易度とビザ取得の流れ

海外移住の際には、移住先の節税制度や社会保障などのメリットをしっかりと享受できるよう、移住に適したビザを取得することが大事です。特に、永住ビザであれば自国民とほとんど同じように生活できます。

ただし、永住ビザにはメリットが多く取得希望者もたくさんいるため、さまざまな条件が定められており簡単には取得できません。ここでは、永住ビザを取得する際の難易度や永住ビザ取得の流れをご紹介します。

【国別比較】永住ビザの取得難易度

移住先として人気が高い国の、永住ビザの取得難易度と取得手順の一例をまとめました。

永住ビザ取得難易度の目安 アプローチ方法一例
カナダ レベル2 ・就労ビザでの一定期間の労働
オーストラリア レベル4 ・就労ビザでの一定期間の労働
アメリカ レベル5 ・アメリカ国籍保持者と一定期間以上の婚姻期間を持つ

・米国への投資

マレーシア レベル3 ・就労ビザでの一定期間の労働

・マレーシアへの投資

タイ レベル3 ・就労ビザでの一定期間の労働

・タイ国籍保持者と一定期間以上の婚姻期間を持つ

アメリカの永住ビザを取得するのは非常に困難と言われています。また、カナダは比較的取得しやすいものの、就労ビザを使用しての一定期間の就労経験やそのための資格取得作業(就業)なども必要となるため、やはり「簡単に取得できる」とは言えません。他の国でも同様に、厳しい条件をクリアするためにはたくさんの時間を要するうえに、言語能力やスキル、財力なども必要不可欠となります。

永住ビザ取得の流れ

国によって条件や申請方法は異なりますが、永住権を取得する際のアプローチ方法はいくつかあります。現地に家族や配偶者がいない、また、海外で使用できるスキルや資格がない場合に実践しやすい方法としては、以下の通りです。

1.移住先で使用できる資格やスキルを学べる学校に通う(2~4年程度)
2.就労ビザを発行してくれるスポンサーを探す
3.就労ビザで一定期間以上就労する(2~5年程度)
4.必要書類を集めて永住ビザを申請する(申請時に言語能力を把握するためのテストを実施する場合もある)

まとめ

海外移住の際には、ビザの種類によって受けられる社会保障や税制度が異なるため、できるだけ利用価値の高いビザを取得することが大切です。

移住の際に使用できるビザはいくつかありますが、税制度を考慮すると永住ビザが最も恩恵を受けられるビザと言えるでしょう。永住ビザを使用しない場合、「社会保障制度を適用できない」「投資の優遇制度や節税制度を使用できない」「所得税が二重課税される可能性がある」といったデメリットが生じる恐れがあります。

ただし、永住ビザは簡単に取れるものではありません。時間もお金もかかります。そのため、移住の際にはまずビザ取得を優先にして移住計画を立てましょう。海外移住を検討中の方は、今回の記事も参考にしてみてください。

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