移住によるインドと日本の税金の違い(住民税、事業税、固定資産税) (1)

この記事で分かること

①インドと日本の住民税の違いについて分かる。

②インドと日本の事業税の違いについて分かる。

③インドと日本の固定資産税の違いについて分かる。

それでは早速見ていきましょう!

南アジアに位置しインド洋に面する連邦共和制国家、インド共和国。前回はインドについての日常生活や南北での国民性の違い、物価や法人税について見てきました。今回は実際に移住した際のインドと日本の各種税金の違いを具体的に見ていきましょう。移住によるインドと日本の税の違いについて有利な点や不利な点があるのか、今回も引き続き個人の税金に着目して見ていきます!

①インドと日本の住民税の違いとは?

個人住民税について、インドと日本ではどのような違いがあるのでしょうか。まずは日本の住民税から見ていきましょう。

日本の住民税は、都道府県民税と市町村民税を合わせた税金のことを指す言葉です。日本では地方税法に基づき、個人に対する都道府県民税と市町村民税市区町村が一括して賦課徴収することから、この2つを合わせて住民税と呼んでいます。

ちなみに、賦課徴収とはいくつかある税金の課税方法や徴収方法の中のひとつになります。通常の税金を収める際には「申告」や「納税」という形で税金を納めますが、この賦課徴収は「申告・納税」と対(つい)になる言葉として用いられます。

「賦課」とは国や地方公共団体などにより税金の割当額が決定し、納税義務者へ通知して負担させることであり、賦課により課税され、また、国や地方公共団体により税が徴収されるということを意味しています。よく市役所や町役場から税金を収めてくださいと納付書が届きますよね。そのことを指している言葉になります。

それに対して「申告・納税」では、納税義務者自らの申告によって納税額が決定し、国や地方公共団体へ納税することを言います。日本の税金の支払い方法には「賦課課税方式」と「申告課税方式」の2種類があり、賦課課税方式の例としては固定資産税、不動産取得税、自動車税・軽自動車税など、申告課税方式の例としては所得税、法人税、消費税、相続税などになります。

日本の所得税は、その年の1月1日現在で居住しているところで課税されるため、1月2日以降に他の市町村に転居した場合は、1月1日現在で居住していた市町村に全て納付する必要があります。 この場合は、その年の住民税は転居先の市町村から課税されることはありません。また、納付する税額は、前年の1月から12月までの所得に応じて計算される所得割と、定められた額で一律に課される均等割(各市町村によって税額が異なります)を合算した額となります。

税額ですが、道府県民税として所得割が4%均等割が1,500円市町村民税として所得割が6%均等割が3,500円かかり、合計で所得割が10%均等割が5,000円の住民税の支払いが必要になります。(市町村民税は、在住している市町村によって税額が異なることがあります。上記の例は一般的なものとして記載しています。)

それでは次にインドの住民税についてですが、実はインドには住民税の概念がありません。日本の様な都道府県と市町村のそれぞれの自治体から課税されることも、インド各州から住民税に相当する課税というものはされることはないのです。

こんなにも国によって税金の仕組みが異なるというのは面白いですね。ちなみに、日本とインドの二国間租税条約にも対象税目には住民税は入っておりません。そういった意味では移住によるインドと日本の住民税の違いという点では、インドの税制度の方が個人にとっては有利となります。

②インドと日本の事業税の違いとは?

法人でも、個人でも、事業を行って利益を稼げば当然事業税を収める必要が出てきます。日本の事業税はどのようになっているのでしょうか。

日本の事業税は、地方税法に基づき、法人の行う事業及び個人の行う一定の事業に対して、その事業の事務所又は事業所の所在する道府県が課す税金となります。個人の事業に対して課すものを個人事業税法人の事業に対して課すものを法人事業税と呼びます。今回は個人事業税について見ていきます!

個人事業税の課税方法については、法定業種(前年中の事業の所得:290万円をこえる場合のみ)と法定業種以外(非課税)に分かれています。個人事業税の税率は全国同一であり、2020年の計算式は以下の通りとなります。

※個人事業税額 = 税率 × (事業所得 + 不動産所得 + 雑所得のうち事業による所得 + 所得税の事業専従者給与(控除)額 ー 個人事業税の事業専従者給与(控除)額 + 青色申告特別控除額(青色申告の場合) ー 繰越控除 ー 事業主控除(290万円))

税率は事業毎に決められており、該当しない事業は非課税(税率0%)の旨、申告しないと税率5%の扱いになる可能性もあるため注意が必要です。下記、それぞれの事業ごとの分類について記載します。

第1種事業(税率5%):物品販売業、保険業、物品貸付業、不動産貸付業、駐車場業、製造業、電気供給業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、旅館業、料理店業、飲食店業、代理業、不動産売買業、広告業、案内業、など

第2種事業(税率4%):畜産業、水産業、など

第3種事業(税率5%):医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、デザイン業、理容業、美容業、クリーニング業、歯科衛生士業、歯科技工士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業、など

第3種事業(税率3%):あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゆう・柔道整復その他の医業に類する事業、など

それでは次にインドの個人所得税はどうなっているのでしょうか?なんとインドには個人事業税の概念もないのです。あえて言えば、それに変わるものが個人所得税ということになります。以前の記事でインドの個人所得税についてお話しましたが、日本と比べると低い金額から高い割合での所得税を課される税制度になっていました。イメージとしては、このインドの個人所得税の中に個人事業税も含まれていると考えると、日本人には理解し易いのではないでしょうか。

個人事業税の比較という意味では、移住によるインドと日本の個人所得税の違いという点を考慮すると、個人所得税+個人事業税の合わせ技で日本とインドの税制度を比較することで公平な評価をすることができると思います。そういった意味においては、日本とインドの個人事業税ではどちらが有利という事は無いという評価が妥当のように思います。

③インドと日本の固定資産税の違いとは?

日本の固定資産税は、固定資産の所有者に課税される地方税となります。固定資産とは、土地、家屋、償却資産を総称したもので、課税される固定資産は下記の様なものになります。

【土地】

田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)

【家屋】

住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物

【償却資産】

構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産となります。ただし、自動車税種別割、軽自動車税種別割の課税対象となるものは除きます。

納める額についてですが、税額の算出方法は課税標準に税率を乗じる(掛け算する)事により算出します。税率は都道府県及び各市町村が設定することが可能で、標準税率は1.4%となります。また、市町村の条例で特に定める場合を除いて、課税標準が土地の場合は30万円未満(一戸ごとではなく、同一の者が同一市町村内に所有する土地の合算になります)、家屋の場合は20万円未満の場合は非課税となります。

【土地】 課税標準額 × 税率1.4%

【家屋】 課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%

【償却資産】 課税標準額 × 税率1.4%

実際に課税する際の評価額の決め方ですが、固定資産の価格は総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価された額を知事又は市町村長が決定し、固定資産課税台帳に登録したものをいいます。また、土地・家屋の価格の決定については、3年に1度、全件評価替えを行い、価格を決定します。この評価替えの年度を基準年度といい、令和3年度がこの基準年度にあたります。第2年度(令和4年度)、第3年度(令和5年度)は、原則として基準年度(令和3年度)の価格を据え置きますが、新築、増改築等のあった家屋等のあった土地など基準年度の価格によることが適当でない場合は、新たに評価を行って新しい価格を決定することになります。

それではインドの固定資産税はどうなっているのでしょうか?インドの固定資産税は、各州政府から固定資産の所有者に課税される間接税となります。固定資産税は不動産の査定価格に基づいて決定され、税率も州によって異なりますが、おおよそ5%~20%程度となります。

固定資産税は全国で統一されていないため、場所、都市、州によって異なります。これにより、さまざまな徴収機関が固定資産税を決定するさまざまな方法を持っています。ただし、固定資産税の計算に関する一般的なガイドラインは、下記の式に基づいています。

※固定資産税=基本値×建築面積×物件建築年数×物件の種類×使用カテゴリ×フロア要素。

したがって、土地の基本価値などの要因(自己所有か賃貸かを問わず)、占有率(住宅用か商業用かを問わず)、不動産の種類( 物件の年齢または建設年)、マルチフロア、シングルフロアといった建築タイプなどにより、 各州やロケーションによって固定資産税を決定します。

これらの要因に基づいて、各州の地方自治体のオンラインポータルで利用できる固定資産税のオンライン算出システムを使用して、支払う義務のある固定資産税を計算することができます。 これらに加えて、固定資産税はさまざまな方法で計算されます。これらは次のとおりとなります。

資本価値システム:資本価値システムに従って、資産がどこにあるかに基づいて政府によって決定された資産の市場価値に従って計算されます。時価のパーセンテージは、不動産所有者が支払う固定資産税として見積もられます。

単位面積値システム:単位面積値システムは、不動産の立地している市街地の単価に基づいて固定資産税を決定します。この場合の物件の価格は、地価、物件の用途、場所などに基づいて決定されます。価格が見積もられると、それは不動産の立地している市街地に基づいて乗算されます。

年間賃貸価値システム:年間賃貸価値システムは、評価可能価値システムとも呼ばれます。この方法により、固定資産税は毎年徴収される不動産の賃貸価値に基づいて徴収されます。この場合、家賃は所有者が実際に徴収した金額とは異なります。これらとは別に、アメニティやランドマークの場所までの物件の距離も、物件の賃貸料を決定する際の重要な要素となります。

いかがだったでしょうか。日本とインドの税金の違いについて、住民税、事業税、固定資産税をそれぞれ見てきました。簡単な概要の説明となりましたが、各個人の実態によってどの評価や計算を使用するべきかなど細かい違いや区別といったものが複雑なため、インドに住むことを検討する場合はぜひ弊社の提携先の司法書士・税理士にお問い合わせ下さい!

出典:JETROインド税制 https://www.jetro.go.jp/world/asia/in/invest_04.html 

東京都主税局 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html

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