インドネシア

インドネシアは、世界でトップクラスの親日国として知られています。また日本人のなかでも、バリ島などは観光地として人気があります。

さらに、インドネシアの市場規模の大きさや成長性に魅力を感じている日本人・日本企業も多いです。現在は新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込んでしまっていますが、今後は回復していくことが期待されています。賃金・物価は基本的に日本よりも低いです。

そんなインドネシアは、日本からの移住先として向いているのでしょうか?この記事では税金に注目して検討していきます。

インドネシアでかかる主な税金の種類

インドネシアにはいろいろな税金があり、税制は複雑だといわれています。ここでは、インドネシアでかかる主な税金について、その概要を見ていくことにしましょう。インドネシアでかかる主な税金は以下のとおりです。

  • 法人税
  • 個人所得税
  • 付加価値税(PPn)
  • 奢侈品販売税(PPnBM)
  • 土地・建物税
  • 物品税

法人税

インドネシアでも、日本と同様に法人税があります。法人税が課されるのは以下に該当する法人です。

  • インドネシアで設立された法人
  • インドネシアに住所を持つ法人
  • インドネシアで恒久的施設(Permanent Establishment/ PE)を通じて事業をおこなっている法人

日本企業など、インドネシア以外の国籍の法人であっても、恒久的施設(事務所や支店、工場など)がインドネシアにあり、事業展開している場合には納税義務があります。

2021年現在の税率は22%ですが、2022年には20%に引き下げられる予定です。また、下記に該当する場合には税率が変わります。

企業の種類 税率
株式の40%以上を公開している上場企業 3%引き下げ
年間売上高500億ルピア(4億円)以下の小企業 48億ルピア(3,840万円)までの課税所得は法人税率1/2
年間売上高48億ルピア(3,840万円)以下の企業 ファイナルタックスで毎月の売上高に対して0.5%

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

個人所得税

個人の所得税については、530%の累進課税となっています。具体的な税率は、以下のとおりです。

課税所得 税率 税額 納税者本人の

基礎控除

5,000万ルピアまで

40万円まで)

5% 250万ルピア

2万円)

5,400万ルピア

432,000円)

5,000万ルピア超

25,000万ルピアまで

40万円超〜200万円まで)

15% 3,000万ルピア

24万円)

2億5,000万ルピア超

5億ルピアまで

200万円超〜400万円まで)

25% 6,250万ルピア

50万円)

5億ルピア超 30% 超過額の30%

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

2年以内に支払われる退職金や、政府認定の年金基金・社会保障庁からの老齢保障貯蓄の一時払い形式での所得(2年以内に支払われた場合)には優遇税率が適用されます。

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

付加価値税(PPn

「付加価値税」というと聞き慣れなく感じる方も多いかもしれません。これは、日本でいう「消費税」に該当します。標準税率は10%であり、日本の消費税率と同じです。

年間売上高が48億ルピア(3,840万円)以上の事業者は、課税事業者(PKP)として登録し、納税する義務があります。

インドネシアの場合には、この付加価値税が課税されない物品・サービスもあります。

 

非課税物品には、以下のものがあります。

  • 直接採取される鉱産物:原油や天然ガス、砂・砂利、鉄鉱石など
  • 生活必需品:米、食塩、トウモロコシ、大豆、サゴ、魚類
  • ホテルやレストランなどで提供される飲食物
  • 貨幣・金・有価証券

 

続いて、非課税サービスを見てみましょう。

  • 医療
  • 福祉(孤児院や葬儀など)
  • 切手を使った郵便
  • 金融
  • 保険
  • 宗教
  • 教育
  • 美術・エンターテイメント
  • 放送(広告宣伝以外)
  • 陸海の公共輸送
  • 国内航空(国際航空サービスの一部をなすもの)
  • マンパワーサービス
  • ホテル
  • 政府機関による公共サービス
  • 駐車場
  • 硬貨を使った公共電話
  • 郵便為替を使った送金
  • フード・ケータリングサービス

非課税物品・サービスが多岐にわたっていることがわかります。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

奢侈品販売税(PPnBM

インドネシアでは、政府が贅沢品とみなす物品やサービスの引き渡し・輸入の際に、「奢侈品販売税」がかかります。課税は一度だけです。税率は物品・サービスごとに異なっており、10〜200%まで幅があります

物品・サービスと税率の例を見てみましょう。

物品・サービス 税率
高級住宅・アパートメント、コンドミニアム、タウンハウスなど 20%
気球、飛行船、その他動力を持たない航空機 40%
ショットガン、弾薬、銃火器、その他の武器(政府用以外) 40%〜50%
航空機(政府用・商業用以外) 75%
自動車 10%〜60%125%

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

2021年10月改正前のデータです。

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

土地・建物税

土地・建物税については、政府が発表する標準価格(NJOP)に従って課税基準額が決まります。課税額は、課税基準額の0.5%です。標準価格(NJOP)ごとの課税基準額を見てみましょう。

政府発表の標準価格(NJOP) 納税基準額
10億ルピア(800万円)以下 NJOPの20%
10億ルピア(800万円)を超えている NJOPの40%

 

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

物品税

インドネシアにはさらに、「物品税」と呼ばれる税金があります。これは、社会への悪影響を勘案し、供給・消費にコントロールが要求される特定の物品に対して課せられます。代表例がタバコ、酒類です。

物品 税率・課税基準
エチルアルコール 20,000ルピア(160)/リットル
アルコール飲料 15,000ルピア(120円)/リットル〜139,000ルピア(1,112円)/リットル
濃縮エチルアルコール 1,000ルピア(8円)/グラム
タバコ製品 10〜110,000ルピア(0.08円〜880円)/本またはグラム

※特定のタバコ製品には57%を適用

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

インドネシアの主な税金を日本の税金と比較

計算

ここまで、インドネシアの主な税金の概要を見てきました。ここからは、それぞれの税金について、インドネシアと日本の違いをまとめていきます。

法人税を比較

インドネシアの法人税率は、22%(2022年に20%に引き下げ)でした。日本の法人税率(普通法人の場合)を見てみましょう。

区分 開始事業年度
2016年41日以後 2018年41日以後 2019年41日以後
資本金1億円以下の法人など 800万円以下の部分 適用除外事業者以外 15% 15% 15%
適用除外事業者 19%
800万円超の部分 23.40%

 

23.20%

 

 

上記以外の普通法人

 

 

企業の種類 税率
株式の40%以上を公開している上場企業 3%引き下げ
年間売上高500億ルピア(4億円)以下の小企業 48億ルピア(3,840万円)までの課税所得は法人税率1/2
年間売上高48億ルピア(3,840万円)以下の企業 ファイナルタックスで毎月の売上高に対して0.5%

実際に法人がどの区分に該当するか、資本や売上高がいくらであるかによって具体的な税率・税額は変わります。しかし大まかに見て、法人税に関してはインドネシアの方が少ない課税額になるケースが多いと言えそうです。インドネシアで税率が変わる場合も振り返ってみましょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf

個人所得税を比較

インドネシア 日本
課税所得金額 税率 控除額 課税所得金額 税率 控除額
5,000万ルピアまで

40万円まで)

5% 5,400万ルピア

432,000円)

 

1,000円〜1949,000円まで 5% 0円
5,000万ルピア超

25,000万ルピアまで

40万円超〜200万円まで)

15%

 

 

 

195万円〜3299,000円まで

 

10%

 

9万7,500

2億5,000万ルピア超

5億ルピアまで

200万円超〜400万円まで)

25%
5億ルピア(400万円)超 30% 330万円〜6949,000円まで 20% 42万7,500
695万円〜8999,000円まで 23% 63万6,000

 

900万円〜1,7999,000円まで 33% 153万6,000

 

1,800万円〜3,9999,000円まで 40% 279万6,000

 

4,000万円以上 45% 479万6,000

 

続いて、個人所得税を比較してみましょう。インドネシアも日本も、累進課税である点は共通しています。それぞれの所得金額ごとの税率を見てみましょう。

個人所得税についても、実際の所得金額によって比較結果は大きく変わります。個人所得税は、インドネシアの方が日本よりも高額になる場合が多そうです。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2021-jpn.pdf

付加価値税と消費税を比較

続いてインドネシアの付加価値税と日本の消費税ですが、基本税率はともに10%で変わりません。

ただし、インドネシアの場合には基本必需品(米、トウモロコシ、大豆、塩など)は課税対象になりません基本必需品以外にも、課税対象にならない物品・サービスは多数あります。

また、日本では課税売上高1,000万円を超える事業者に納税の義務が生じますが、インドネシアでは課税売上高48億ルピア(3,840万円)以上の事業者に納税の義務が生じます。

付加価値税・消費税については、日本の方がかかると言えそうです。ただし、インドネシアでは奢侈品販売税もあるので、贅沢品には注意が必要です。

まとめ

この記事ではインドネシアの代表的な税金の概要の把握と、日本の場合との比較をおこなってきました。

実際の税率・税額は、売上高や所得などによって変化するので一概にどちらがよいとは言えません。ただし、普通法人の法人税はインドネシアの方が、個人所得税は日本の方が低くなりやすいことがわかりました。

消費税(付加価値税)については、基本税率は同じ(10%)であるものの、インドネシアの場合には課税対象にならない物品やサービスが数多くあります。

どういった形(たとえば自分で事業をおこなうのか、雇用されるのかなど)で移住するかによって状況は変わりますが、インドネシアのほうが暮らしやすいケースもあるでしょう。

この記事では税金に注目してきましたが、インドネシアは美しい自然や多様な文化を持つ、魅力にあふれた国です。興味のある方はこの記事を参考に、ぜひ具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

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